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塩尻市 |2019年度〜

奈良井区まちづくりプロジェクト

江戸時代からの風情が色濃く残る奈良井区では、重要伝統的建造物群保存地区に選定された街並みの保全や、そこで営まれる住民の暮らしに寄り添い、時代にあったビジョン・ルールづくりのための検討を行っています。

2021年11月29日
by | 佐久間 圭子

住民主体のまちづくり先進地から学ぶ!南信州視察【第3回 奈良井ラボ報告】

【報告】

11/17、第3回目の奈良井ラボは「外を知る」フェーズで、南信州視察をしてきました。
今回視察でうかがったのは、地域の子供もお年寄りも地域で守り育てることを理念に掲げ、地域で保育園とデイサービスを運営している飯田市千代地区「千代しゃくなげの会」と、観光振興だけでなく地域の生活を支える小さな拠点の核となっている「道の駅南信州とよおかマルシェ」の2カ所です。


奈良井ラボとは?

地域住民のみなさんが「これからの奈良井」のため、問いを持ち、調べ、考え、動き出すための場となることを⽬的としており、第1期にあたる今年度は「対話の場(フラットに意⾒を⾔い合える場)」の創出からスタート。奈良井区在住の多様な世代や属性のみなさんと一緒に全6回を実施していく予定です。

第1回 ワールドカフェ方式による対話ワークショップ「奈良井の〇〇どう思う?」
第2回 奈良井まち探検-楢川中学生とまち歩き-
第3回 南信州視察 ←今回はココ!
第4回 「奈良井のこれからどうしていく?(仮)」
第5回 報告会準備
第6回 第1期報告会

【参加者】
奈良井区在住または地縁のある方合計37名(増加中)

【奈良井ラボ事務局】
メンター(伴走役):大塚佳織氏、竹脇恵美氏(長野県長寿社会開発センター)
全体アドバイザー:新雄太氏(東京大学大学院特任助教)
運営主体・会計:地縁団体奈良井区
企画補助・支援:塩尻市、信州地域デザインセンター


地域の子供やお年寄りは地域で守り育てる社会福祉法人千代しゃくなげの会(飯田市千代地区)

▼千代しゃくなげの会 公式webサイト
http://www.mis.janis.or.jp/~chiyo932/index.html

今から16年前の2005年、保育園児数減少により地区内に2つあった保育園統合を飯田市から提示されたことにより、地域で社会福祉法人を立ち上げ、2つの保育園を地域で運営していく民営化の道を選びました。
合わせて飯田市千代地区に設置された老人デイサービスセンターのの運営も行っており地域の子供やお年寄りは地域で守り育てるという一貫した理念のもと地区の拠点として活動しています。
千代しゃくなげの会 小澤理事長より、
保育園・デイサービスセンター民営化が実現した地区の歴史的背景として農繁期に子供を預けていた「季節保育園」の存在が大きな土台となっていることをうかがいました。千代地区は、周囲は山に囲まれ、比較的温暖な気候で豊かな土地柄なのか農・林業が盛んであり、農繁期はかなり忙しかったのだろうと推察できるような場所でした。その当時から千代しゃくなげの会の理念である「地域の子供とお年寄りは地域で守り育てる」を、当たり前のように行っていたようです。

・全世帯から一律1万円を出資してもらい1000万円で社会福祉法人を立ち上げた
・民営化に向けて何度も何度も会合を重ね、反対意見が出て紛糾しながらも丁寧に進めたことで実現した
・キーパーソンがいた
という点が印象的でした。

また、この地域には「地区構想」という地域のビジョンを持っています。それを掲げたポスターだけでなく到達するためのロードマップまで全戸配布しており、地域の計画を全世帯へ浸透させるための工夫があることで自治力を高めていることも知りました。

小さな拠点で観光拠点の道の駅「南信州とよおかマルシェ」

▼道の駅南信州とよおかマルシェ 公式webサイト
https://toyooka-marche.jp/

2つ目の視察先は道の駅南信州とよおかマルシェです。
2018年にオープンした道の駅であり、観光客向けのインフォメーションセンターやサイクルステーションや、地域で取れた農作物を加工販売し提供しているだけでなく、スーパーや喫茶店、クリーニング店も軒を連ねたり、コミュニティーバスの発着所として地域住民の生活拠点として機能しています。
ここは地域住民から出資を募り「株式会社豊かな丘」を立ち上げ運営をしています。
全国初の小さな拠点税制をうけており、出資者(現在は247人)は所得税の控除もうけられるということ。

本格的なレストランのKitchenそらら、焼き立てパンとジェラートのきらら(この日は残念ながら定休日)、農産物直売所の四季彩市場にはテイクアウト用のお弁当やお惣菜など、地元でとれた食材を使った食べ物が本当に盛り沢山!
隣のスーパーと中でつながっていて地元と観光客を隔てることなく利用できるのです。
視察でうかがったのは平日の午後でしたが、駐車場にはたくさんの車があり、活気溢れているように感じました。
観光地である奈良井は、住民が利用できる生鮮食品など生活に必要な物を購入できるお店が地区内にありません。
ご説明いただいた岡田支配人に向けて、奈良井ラボ参加者から細かい質問を投げかけていることが印象的でした。

コロナの感染者数が落ち着いている時期とはいえ、大人数での視察を受け入れてくださった千代しゃくなげの会様と南信州とよおかマルシェ様に改めて感謝申し上げます。ありがとうございました!

次回以降の奈良井ラボは、改めて奈良井について考え対話をしながら動いていきます。冬に突入し寒く厳しいシーズンを迎えましたが、季節を楽しみながら引き続き奈良井ラボを進めて参ります!!

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