シェアサイクルの改良だけでは足りない!女子大生が提案するレトロな温泉街の作り方
しなの鉄道沿線地域の回遊性向上に向け、新しいモビリティのあり方や公民連携による事業化の方向性等について検討するため実施した「上田市・千曲市 広域シェアサイクル社会実験」。
千曲市ではこの社会実験の一環として、長野県立大学グローバルマネジメント部起業家コースの学生さんと、清泉女学院人間学部文化学科の学生さんとともに全四回に渡り、プロジェクトを行いました。ここではプロジェクトを通じ、都内から長野の大学に進学したり、しなの鉄道を使って通学している大学生たちが、シェアサイクルを使って千曲市をどう開拓してゆくか、最終発表会の様子をレポートします。
● 第一回 長野県立大・清泉女学院の学生さんと「千曲市シェアサイクル社会実験」スタート!
(記事リンクhttps://udcshinshu.jp/cat-support/3775/ )
● 第二回目 大学生が考えたシェアサイクル試乗コースいよいよ走行!棚田への急坂も登ります!
(記事リンクhttps://udcshinshu.jp/cat-support/3798/ )
● 第三回目 千曲市をエモく、映える場所に?!シェアサイクル試乗後の大学生のリアルな意見交換
(記事リンクhttps://udcshinshu.jp/cat-support/3912/)
最終回となる今回は、女子大生3名が、シェアサイクルの課題と改善案、そして女子大生の琴線に触れるような観光のアイデアを信州千曲観光局さんに発表することになりました。
発表前、観光局のみなさんからは「千曲市には観光資源が色々あるけれど、それぞれの間に移動手段がないので新しい視点で教えてほしい。」「千曲市では若い方がシェアサイクルに乗っているイメージがまだないので、みなさんから出てくる意見は貴重。楽しみにしています!」と激励を受けます。
コワーキングスペースGororiってこんなところ
発表会の会場となったのは、千曲市総合観光会館に2021年2月にオープンしたばかりのコワーキングスペース・Gorori(ごろり)。40畳の広々とした和室には、SNSをきっかけに「人をダメにするソファ」としてブレイクしたヨギボーのビーズソファや座るだけで体幹を鍛えてくれるバランスボールなど、一風変わったアイテムが用意されています。デスクワークはもちろん、名前の通りごろりとくつろぐこともできるので、温泉との相性も抜群。リラックスして働くのにぴったりのワークスペースです。もちろん一般に開放されており、料金は1日1000円、または2時間で500円。9:30〜18:00に使用可能です。貸切利用日などもありますが、公式ツイッター @Gororiinfo で確認できます。
UDC信州サイトより
https://udcshinshu.jp/cat-media/2232/
女子大生はご褒美があれば楽しめる!
Gororiのステージ側にスクリーンを用意し、まずは女子大生が携帯で自撮りした千曲市の写真を見ながら率直な感想を語ります。
・棚田までの坂道は勾配がきつく自転車で登るのが大変だったけれど、登り切ったあとの景色が良かった。
・カラコロの湯(足湯)の周りでは紅葉も見られた。
・足湯に浸かりながら食べるあんずソフトは美味しかったしインスタ映えもする。
・景色や美味しいものなどご褒美があったので楽しめた。
シェアサイクルの困りごとと改善案
総じて楽しめたとは言っても、困ったことも多かったようです。その困りごとそれぞれに改善案も考えてくれました。
・クレジットカードを持っていない大学生は多いので、今のままだと大学生は借りられない。
→クレジットカード以外の決済方法を増やす。
・地図も土地勘もないので、案内してくれる人がいないと道がわからない。
→人気の俳優や声優の声で音声ガイドをつける。
・シェアサイクルのカゴが小さいので大きな荷物が入らない。また網目が粗いので小さな荷物は落ちてしまう。
→ドリンクホルダーや携帯ホルダーを導入する。
・電動アシスト付きは便利だが、充電の減りが早く、車体が重いので女性にとっては大変。
→漕ぐことで自家発電できるようにならないか?
・レンタル料金が高いので学割をつけてほしい。500円くらいだと借りやすい。
→貯めたら千曲市以外でも使えるマイルのようなものをつけられないか?
まだまだ終わらない!女子大生目線の提案に大人もワクワク!
シェアサイクルの環境が整うだけでは足りない。千曲市が女子大生にとってもっと魅力的な場所になるには、どんなことができるかも考えてきました。大人だけでの会議では出てこないアイデアは目から鱗が落ちるよう。観光局のみなさんも聞き入ります。
・恋愛スポットが活かしきれてないので、上山田温泉開湯の民話として伝わる「小石(恋し)の湯」伝説を活用したおみくじを設置。
・かぶると俳優・声優の声で音声ガイドが聞こえてくる、スピーカー付き帽子の導入。
・戸倉上山田ならではのあんずソフトをもっと宣伝。
・見切り品や訳あり品などの生花を利用し、足湯に浮かべてインスタ映えを狙う。
・足湯をライトアップし、蓄光タイプのスーパーボールを入れて夜もインスタ映えを狙う。
・スナックは入りづらいので、オシャレでレトロな雰囲気にする。
・夜景を楽しめるように棚田までロープウェイを走らせる。
発表のまとめは3点!
1.千曲市は高低差もあり地理的に観光用のシェアサイクルに向いていないので、自転車の車体そのものの改善が必要。
2.戸倉上山田を中心とした千曲市にしかない魅力をもっと作る必要がある。
3.様々な年代から意見を得ることは観光の活性化につながるので、今回のような社会実験に大学生が参加できるのはとっても良かった!
信州千曲観光局さん、いかがでしたか?
専務理事・小沼さんからは「学生さんの目線で千曲市を捉えたこういう社会実験は必要。シェアサイクルに興味がない人にどうやって興味を持ってもらうか、それにはみなさんが発表してくれたようなアイデアが必要」。
これまで全四回のプロジェクトを共に活動してきた山崎さんからは「今日、ここまでアイデアが出てくるとは正直思っていなかった。シェアサイクルは千曲市だけでやっても利用者がなかなか増えないので、長野市や、しなの鉄道沿線で一緒にやっていきたい。そういう意味でもマイルを貯めるというのはいいアイデア。地元の詳しい人がいないと楽しめないというのも的を射ている。我々、地元民が案内できないときに、来てくれた人たちにいかに楽しんでもらえるか。そのために音声ガイドは取り組んでいきたい課題」。
そして、今回発表をした女子大生と一番年齢の近い本田さんは、以前から千曲市のレトロに着目し売り出そうと、スナック街を背景に女優・小西桜子さんを案内人に起用したパンフレットを作成されていました。「インスタ映え、レトロが重要。そう思って自分がやってきたことは間違ってなかったと思った。でも、小石(恋し)の湯伝説の恋愛スポットがすっぽ抜けてたことに、みなさんの発表を聞いて気がつきました!」。
たくさんのアイデアを出してくれた女子大生ですが、インスタなどSNSで見て気になった場所に出かけることが多いほか、「足湯 インスタ映え」のように、何かに「インスタ映え」という言葉を組み合わせて検索をすることも多いそう。情報の届け先や届け方という側面でも発見の多い回となりました。
今回で終了するプロジェクト、全四回を振り返ります
ーーーー全四回を通じて、どんなことを思いましたか?
よしいけ「自転車が好きなので乗れるだけで嬉しかったけれど、千曲市に詳しくもなれてよかった。」
ゆったん「お父さんの実家が千曲市なので来たことはあるけれど、観光は初めて。今回シェアサイクルに乗ってみて楽しかったし意外と魅力があった。」
はなちゃん「実家が小諸で近いのに、千曲市の観光のことを何も知らなかった。あんずソフトや恋愛スポットがあるのを知れて面白かった。」
よっしー「スナックが気になる。誰かが連れて行ってくれるのであればそれを活かして、アナログなままに残してしまうのもいいのかもしれないと思った。」
最後はみんなで記念撮影。これで千曲市のシェアサイクル社会実験に関する全四回のプログラムは終了しますが、今回の取組を活かして、千曲市シェアサイクル社会実験が次年度以降も展開していくことを期待します!
UDC信州では、地域の課題を解決するため、ワクワクする未来を創るため、様々な企業や大学と連携しながら、今後もまちづくりに取り組んでいきます!