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安曇野市 小諸市 |2019年度〜

空き地・空き家の利活用プロジェクト

2023年3月24日
by | 橋本 悠介

【開催レポート】安曇野市で空き家の活用に関するトークセッション及び報告会を開催しました!

 3月5日(日)に安曇野市の穂高交流学習センター「みらい」において、空き家の活用に関するトークセッション及び報告会を開催しました。(安曇野市の主催)遅くなりましたが、当日の様子をお伝えします!

●【第1部】空き家の可能性を探るトークセッション「空き家の可能性を生かした地域のみらい」

・小諸市「おしゃれ田舎プロジェクト」 高野さん、小山さん、堺さん
・明科駅周辺まちづくり委員会 横内さん
・合同会社うずまき 高井さん
・コーディネーター UDC信州 倉根

〇取組紹介

➤「モットーは“圧倒的楽しさ„」

小諸市の「おしゃれ田舎プロジェクト」の取組の紹介

 まずは、小諸市の「おしゃれ田舎プロジェクト」の紹介です。このプロジェクトは小諸市に勤めている高野さんが小諸市に家を建てた際に、今後自分が小諸市で何十年と住みことを意識するようになり、住み続けるなら住んでいるまちが面白い方が良い!との想いで、仕事とは別に始めたプロジェクトとのことです。
 このプロジェクトは、好きなときにやれる範囲で楽しんでやるプロジェクトとして、法人化もしておらず、負担になりすぎない工夫をしているようです。

【おしゃれ田舎プロジェクト】https://sy5253.wixsite.com/oshare-inaka-komoro

 小諸市周辺の若者は、休日には佐久、上田、軽井沢に行く人が多かったこともあり、まずは「若い世代が出かけたくなる街へ」をテーマに、対象範囲をあまり広げすぎず、まちなかに絞っているとのこと。また、このプロジェクトは、単に空き店舗とやりたい人を繋げるだけではなく、既に営業しているお店の方々などと繋げ「個の商売」と「個々をつなげた商売」、そして「地域と個をつなげた商売」を大切にしているそうです。
 さらに最近では新たな取り組みとして、店舗の空き時間や場所を利用して「のきさき」を貸すチャレンジショップを開催していて、どれも行列ができて完売するほどの盛況ぶりのようです!町のお店が止まっている時間を貸し出すという考えが素敵ですね!

➤「継続することの大切さ」

「明科駅周辺まちづくり委員会」の取組の紹介

 次に明科駅周辺まちづくり委員会と合同会社うずまきの紹介です。明科駅周辺まちづくり委員会は平成27年度から活動を始めていて、当初は明科駅の橋上駅の話から始まり、明科駅前についてWSでインフラや景観、交通など多くのテーマで議論を行いながら市への要望書を提出してきたとのことでした。この要望書も公助(行政が主に取り組むもの)、共助(協働して取り組むもの)、自助(市民が取り組むべきもの)の項目があり、官民が連携して行う重要性について当初から考えていました。
 その後、平成29年2月に第1回目のまちあるきをはじめ、最近では令和5年2月に第17回目が開催されました。このまちあるきでは、当時は平面図や活用のイメージ図を用意するなどしていたとのことで、当時の苦労が伺えました。

「合同会社うずまき」の取組の紹介

このまちあるき見学会で紹介されていた空き家を活用して、地域の活動を促す場を提供するシェアスペース「竜門渕てらす」を運営するため、令和2年10月に横内さん、高井さん含め5名のメンバーで合同会社うずまきを立ち上げました。合同会社うずまきの立ち上げのきっかけは、前述のまちあるきで紹介されていた大きな空き家があったことや、国道19号の拡幅による横内さんの事務所の移転があったこと、コロナ禍で話をする時間が多く取れたことなどだったとのことです。コロナ禍はマイナスの面ばかりでなく、このような動きを醸成する時間を作り出してくれたようです。
 この合同会社うずまきが運営する「竜門渕てらす」は令和3年7月23日にオープンしました。「場」をつくっていくのは使ってくれる人たちであり、「人」と「人」をつなぐ場の提供を行っています。今では、ほぼ毎日なにかしらのイベントが行われていて、地元の方々の交流の場となっています!

【合同会社うずまき】https://uzumaki-akashina.jp/
【竜門渕てらす】https://www.ryumonbuchi.uzumaki-akashina.jp/

〇トークセッション

トークセッションの様子

ここからは、お待ちかねのトークセッションです。まずは、空き家へのニーズなどの話題からスタート!

➤「空き家があることの価値」

 安曇野市と小諸市の各取り組みにおいてもニーズは様々なようで、古民家を希望する人や、店舗兼住宅を希望する人など様々で、賃貸、売買についても傾向はあまりない様子。
 高井さんによると、明科地区を知ったうえで来る人は少ないようで、安曇野市に住みたい人が現地に来て初めて明科地区を知って気に入る人が多いそう。来る方も小商いをしたい方や住みたい方と二分されるようで、県外から来られる方は何かやりたい方が多いようでした。そんな中で、明科地区は国道19号の歩道整備工事で居抜き物件が少なくなってしまい、飲食店をやるにもハードルが高くなっているとのお話もあり、古くても残っていることの価値を感じるお話でした。

➤「顔が見える安心感、対話することで信頼関係を構築」

 続いて、空き家を見つけて貸してもらう、売ってもらうためのプロセスについてお聞きすると、両者とも「足で稼ぎ、対話する」という点で共通していました。何か特別なネットワークがあるのかなと思っていましたが、やはりここはアナログ的にひたすら歩く!そして、空いていそうなお宅を見つけては、その近隣の方に聞いてみるなど地道な活動を続けているそうです。何度も訪れては、少しずつお互いの信頼関係を構築していく。これがとても大事とのことでした。ちなみに小諸市の高野さんはまず、市役所職員と名乗って自分を信頼してもらうという高野さんならではの強みを発揮しているとのことでした(笑

➤「人が人をつないでいく、口コミのネットワーク」

 情報を効果的に発信することはなかなか難しく悩みの種の一つであることが多くあります。ところが、おしゃれ田舎プロジェクトではなんと現在は特に広報活動をしていないとのこと!
 当初は、東京などで行っていた県主催の移住セミナーなどで発信をしていたけれど、現在はそのセミナーに参加された方々が移住され、その方や地域の方々が新たな移住者を紹介してくれるという好循環が生まれています。また、小諸市の地域おこし協力隊の堺さんが手がけたイベントの参加者がオーナーになったこともあるそうで、地域の活動にもどんどん波及していっています。
 安曇野市でもこのような最初のきっかけができ、波及していくことを期待しています!

〇Q&A

 当日は、会場からも多くの質問をいただきましたのでいくつか紹介させていただきます。

Q:移住者の年齢層などの特徴は?(安曇野市への質問)
A:安曇野市では30~40代の転入が多く、移住希望は50~60代の首都圏の方々が多い。

 ここで転入と移住?違いは?と感じた方もいらっしゃったのではと思います。これは、個人で転入手続きを行って転入してきた方は、「転入」、窓口に移住相談に来た方が転入された場合「移住」としているそう。個別で行っている案件については、一時的なものかの判断ができず、実態把握が難しいので、このように使い分けているとのことでした。知らなかった!

Q:2地域居住の実態は?(小山さんへの質問)
A:コロナ禍によってリモートワークが可能となり、実際の出勤は週に2~3日程度。移住してきたのに仕事に通うだけではもったいない!との思いから、おしゃれ田舎プロジェクトに参加した。その結果、地元との関わりが増え、移住した先で地元の人がつながる良いサイクルが生まれていると感じている。

 このお話の中で、長野県は移住先の候補に必ず入るほどで、中でも安曇野市のブランド力はとても高いとのこと!小諸市のようなよい循環がうまれれば、明科地区にも大きな変化が生まれるかもしれませんね。

Q:地域おこし協力隊として参加してどうか?(堺さんへの質問)
A:自分のスキルを使ってまちを住みやすくすることを考えている。まちなかと移住者とをつなぐプロジェクトがあったことで地域コミュニティに入りやすかった。

 お話の中で、移住者は移住者とつながりやすいけれど、それは地域社会に入り込めていない状況であり、地元の人と交流しやすい仕組みがあるとよいとのことでした。明科のまちあるきも地元の人と仲良くなれ、地域の人と知り合えることが強みであるということを再認識できました。

Q:移住対策について力を入れていることは?(小諸市への質問)
A:補助金などもあるが、お金で移住者を呼び込むよりも、選んでよかったと思ってもらえることに重点を置いている。人とのつながりは切っても切れない。

 このお話がとても印象的で、おしゃれ田舎では物件を紹介する中でその倍以上の「人」の紹介をしているそう。小諸市は4万人規模の小さな都市で市場規模としてはあまりよくないそう。その中で、実際に商売をしている人の声を聞いてもらうことが決め手になることが多いとのこと。やっぱり最後は「人」なんですね。

 この他にも質問をいただき、時間いっぱい(ちょっとオーバー?)まで会場は大いに盛り上がりました!

●【第2部】協同事業活動報告(豊科北中学校3年4組総合的な学習の時間)

「空き家を生かしたまちづくり」~地域探求型総合学習の事例~
・NEX-T安曇野 宮崎さん

〇取組紹介

➤「空き家活用は異業種の連携、建物だけでなく暮らしも見ることが大切」

【第2部】協同事業活動報告の様子

 まずは、宮崎さんの自己紹介からはじまりました。28年前に埼玉から移住してきて不動産業を行っています。2年前から市と共同事業を行っており、空き家の利活用に関するハンドブック「安曇野“住まいの終活のススメ”ハンドブック」の作成なども手掛けています。

【安曇野“住まいの終活のススメ”ハンドブック】https://www.city.azumino.nagano.jp/uploaded/attachment/54196.pdf

 空き家を活用するうえで、不動産は文系で法律がメインですが、建物のほうは工学の分野であり、なかなか連携が進んでいない状況があったとのこと。このため、2013異業種勉強会を経て、2016年に多彩な業種(宅建業者、建築士、工務店、不動産鑑定士、検査機構、金融機関など)で構成されたNEX-T設立したとのことでした。これにより、空き家となった物件を「予防」→「診断」→「活用」へとワンストップで行えるようにしているそうです!

 お話の中で、購入希望者は土地と建物についてはよく見ていますが、「暮らし」に目が行っていないとの指摘があり、なるほどなと思いました。トークセッションのなかでもあった、地元の方々とのつながりの大切さ、住み続けるうえでとても重要な視点だと感じました。

 また、「廃屋」、「古屋」、「古民家」の言葉の定義を明確に分けられる人はおらず、「古民家」という言葉の響きが独り歩きしているとのこと。宮崎さんは、「再生する道筋があるもの=古民家」と考えているということで、確かに古民家での田舎暮らしといえば響きは良いですが、やはり安全、安心に快適に暮らせるかどうかは別問題。しっかりと、診断して納得できる状態であることを確認することの大切さも学ぶことができました。

【NEX-T安曇野】http://nex-t.jp/

➤「自分で気づいて考えることで、地元への愛着につながる」

 続いて、昨年度から旧穂高宿で開催している「穂高宿まちあるき空き家見学会」の活動のその先を見据えて実施した、豊科北中学校の中学生の地域探求型総合学習の中で、空き家を活かしたまちづくりをテーマとした授業の活動報告です。

 この中で宮崎さんが大切にしたことは、「気づき」とのこと。インターネットで知識や情報は得られる時代の中で、「きづく」→「なぜ」→「考える」→「探究的学び」につなげる過程を重要視したそうです。実際に活動した中学3年生も、当初は受験を控えた状況でめんどくさそうであったが、やっていくうちに生き生きしてきたとの話もあり、当日視聴したあづみ野テレビの動画の中でも、中学生の皆さんは笑顔ばかりでした!自分で気づいて考えることで地元への愛着につながるということがよくわかりました。

 活動の中でも、まちを知らずに空き家を語るとただのアイデアになってしまうので、まず自分で調べてまちを知り、その後に現地を自分の目で見て課題を考えることとしたそうです。中学生の皆さんは、あまり自分のまちに出て買い物をする機会も少なかったようで、自分のまちを改めて知ることができたようです。
 とりまとめがアイデアで終わらないように5W1Hで考え、「自分事」として考えることを大事にし、特に「なぜ」、「どのように」、「だれが」を重要視して、自分たちは何ができるのかをしっかりと考えたうえで発表に臨みました。
 発表は全部で7班から多種多様な内容の発表があり、中学生の皆さんが自分事として自分のまちのことを考えた結果がしっかりと出たように思います。

 これらの発表を受けて宮崎さんは、空き家は予防が大事であり、本来めんどくさいので先送りしたいことではあるが、子供たちが関わることで予防につなげたいとのことでした。若いころから自分のまちを考える良いきっかけとして、目の前のことだけでなく将来のことも含めて考えていく、このような取り組みが続いていくことを期待しています!

昨年度の開催レポートも是非チェックしてみてください!

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