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安曇野市 |2019年度〜

空き地・空き家の利活用プロジェクト

2022年3月13日
by | 倉根 明徳

【開催レポート】安曇野市で空き家の活用に関する講演会及び報告会を開催しました!

3月12日(土)に安曇野市の穂高交流学習センター「みらい」において、空き家の活用に関する講演会及び報告会を開催しました。(安曇野市との共催)
簡単ですが当日の様子をお伝えします!

●基調講演
「まちを面白がるところから始める、空き家の可能性のはなし」
〇と編集社 赤羽さん、奥田さん

➤「大切にしているのは“暮らし„」
 赤羽さんたちの設立した〇と編集社では、まちを面白くするため、暮らしを豊かにするために以下の5つの事業をしているそうです。https://maruto.or.jp/

 ・建築、不動産
 ・デザイン・ブランディング
 ・自転車(サイクルツーリストなど)
 ・古物、アート、文化
 ・ちょっと未来の研究所

 特に気になるのは「ちょっと未来の研究所」ですよね?
 この研究所では、まちの中で飲食やホテル、オフィス、シェアハウスなどの実証実験を行ったり、商店街のリブランディング(あるつくトークでも紹介した“トビチマーケット„など)を行ったりしているそうです。
 リアルな状況の中でトライ&エラーを繰り返しながら“暮らし„を考えているという部分が素晴らしいな~と思いました。赤羽さんたちが活動を始めた頃から5年間くらいで38のお店がオープンしたという話は驚きでした!

➤「2ヵ月に1回のペースで続けているまち歩き」
 赤羽さんたちが大切にしている活動のひとつに「まち歩き」があります。
 面白かったのは「参加者が0人でも開催します!何故か?私の趣味がまち歩きだからです」という話(笑)。参加者がいないときは、役場の担当者と2人でまちを探索し、新しい情報収集などをしているそうです。こういう地道な活動が人を引き寄せるんだな~と思いました。

➤「想いや気持ちを伝える」

   何をやりたいか、何故やりたいか。
   想いはなかなか伝わらない。
   想いを見えるようにするのがコンセプトづくり。
   コンセプトが伝わっていくようにするのがブランディング。

 奥田さんのこのお話、何をしていく上でもすごく大事だな~と思いました。
 よく「商店街のシャッターを開けよう」という話があるが、辰野でやったトビチマーケットでは「閉じているお店を開けることを目的にするのではなく、開いているお店をつなぎ直して、新しい商店街の形を提案する」ということをしたそうです。
 またこのトビチマーケットの目的は、「何をやりたいか」を地域の方に知っていただくためのプレゼンテーションだったそうです。どんなに丁寧に説明しても、言葉や絵だけではなかなか伝わらない、なので「10年後にこんな商店街にしたいんです」という姿を、1日だけやってみたと。
 あるつくトークで「トビチマーケットはイベントではなく、10年後の1日を前借りした」とおっしゃっていた意味があらためてよく理解できました。
 また、「地域活性化」「イノベーション」「サステイナブル」「DX」みたいな言葉もよく聞くが、ちゃんとその目的を伝えることが重要というお話もあり、とても勉強になりました。

➤「“やりたい„ができる地域づくり」
 基調講演の後半は、赤羽さん、奥田さんのトークセッション。  まちを面白くするのに大切なのは、“やりたい„と思ったことができる地域であるかどうかというお話でした。空き家があって、リーズナブルに始められることもその地域のメリットになるし、「いいじゃん!面白そうじゃん!」と言ってくれる、背中を押してくれる人がいることも重要。逆に何をするにも許可が必要だったりする環境は難しいということでした。確かに、面白いな~と思う地域には必ずと言っていいほど、「いいじゃん!面白そうじゃん!」と言ってくれるようなキーマンがいますね。納得でした。

●市民協働事業活動報告会

「明科駅周辺まちあるき空き家空き店舗見学会」
明科駅周辺まちづくり委員会 横内さん、中村さん

➤「地域の魅力の再発見」
 横内さんからは、地域の魅力の再発見を目的に実施したまちあるき事業の報告がありました。なぜ空き家が増えるのか?それは地域に魅力がないからと仮定し、だったら地域の魅力を再発見しようと始めたそうです。
 空き家空き店舗見学会という名前なので、もちろん空き家空き店舗を探している方が参加されるのですが、単に建物を見てもらうのではなく、地域の歴史なども学んでいただく要素も取り入れてまちあるきをしています。UDC信州としても、参加させていただいたことがありますが、昔の写真を見せていただいたり、歴史や地形についての説明があったり、とても充実したまちあるきでした。
 実際に参加された方の感想も報告がありましたが、同じように楽しめたという感想も多かったので、この方法は参考になるな~と思いました。来年度も4回のまちあるき空き家空き店舗見学会を予定しているそうですので、興味のある方はぜひご参加ください。(5/21、8/27、11/12、2/25)
 https://uzumaki-akashina.jp/

➤「実際の物件紹介」
 後半は、中村さんから実際にリノベーション中の物件の説明がありました。どこまで公表していいか確認が出来なかったので、具体的なお話は割愛しますが、やはりプロ(建築士)が入ってリノベーションを行うと、古い建物もこんなに魅力的になるんだと分かるご説明でした。すでにリノベーション済みの「龍門渕テラス」の紹介もありましたが、とってもコンパクトにまとまった明科地区で、こんな場所が増えていくと、インパクトがあり、どんどん面白くなっていくだろうな~と感じました。

明科駅周辺まちづくり委員会 横内さん

●市民協働事業活動報告会②

「安曇野“住まいの終活のススメ„事業」
NEX-T安曇野 宮﨑さん

➤「予防、診断、活用」
 最後は、NEX-T安曇野の宮﨑さんのお話。
 宮﨑さんからは、まず、空き家の活用を考える上では、建物や土地のことだけではなく、暮らしも含めた「住まい」についても考える必要があるというお話がありました。「住まい」を考える上では、福祉のこともなども考える必要があるため、NEX-T安曇野では、建物や土地の専門家に加え、保険や金融の専門家が連携して活動を行っているそうです。http://nex-t.jp/
 また、空き家の活用の前の段階、「予防」と「診断」が大切だというお話もありました。
「空き家」とひとことで言ってもその程度は千差万別で、実際に活用される空き家は全体の10%程度ということです。これを増やしていくには、日頃からの診断、空き家から廃屋にならないための予防が必要だというお話でした。 人間と同じという説明に納得しました。
 ただ、この重要性がなかなか伝わらない。基調講演の奥田さんのお話とつながりますが、それをどうわかりやく伝えるか?という部分で、宮﨑さんたちは動画や冊子を作ったそうです。この日はいくつかの動画を見せていただきました、とても分かりやすい内容になっていました。特に診断の動画では、普段なかなか見ることができない診断の様子などが紹介されていました。

(当日紹介して頂いた動画です)
・NEX-T活動紹介
 http://azumino.cocolog-nifty.com/akiya/2021/09/post-cd4596.html
・住宅診断
 http://azumino.cocolog-nifty.com/akiya/2021/09/post-ceb74d.html
・中古住宅購入
 http://azumino.cocolog-nifty.com/akiya/2021/09/post-a6e3ac.html

NEX-T安曇野 宮﨑さん

 3時間以上の講演会&報告会でしたが、多くの参加者が熱心にお聞きになっていました。

 個人的に驚いたのは、太田安曇野市長が最前列で最初から最後まで聞かれていたことです。終わったあとも、登壇者たちとずっと立ち話をされていました。こういうトップがいる地域は絶対に面白くなるので今後にますます期待を感じました。

 最後に余談ですが、太田市長は長野県の副知事時代、UDC信州の設立を後押ししてくださいました。基調講演で地域には「いいじゃん!面白そうじゃん!」と言って背中を押してくれる人が必要というお話がありましたが、まさに太田市長はそんな方でした。久しぶりにご挨拶できたことも良かったです。 長くなりましたが、以上、開催レポートでした。

 

会場となった、穂高交流学習センター「みらい」も素敵な場所でした!
https://www.city.azumino.nagano.jp/site/mirai/74752.html

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