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大町市 |2019年度〜

信濃大町100人衆プロジェクト

中心市街地の再生に向けて、大町市の将来像を描く「未来ビジョン」の策定、及び策定に向けた公民学が連携するプラットフォームづくりを支援しています。

2020年8月25日
by | 竹中 唯

大町市で「まちなかの未来ビジョンを市民と行政で共有する場づくり」が開始!中心市街地の再生を目指すプロジェクト

2020年8月25日に行われたのは、大町市でのまちづくりプロジェクト「信濃大町100人衆interview」の第1回目。長野県大町岳陽高等学校の生徒が地域の方へのインタビューを通じて、大町の魅力を発見し、市内外に紹介するプロジェクトです。今回は“取材の心得”について、ライターとしてご活躍されている地元のプロから学びました。

「大町を元気に」まちづくりを白紙段階から伴走

プロジェクトの始まりは、少子高齢化や大規模商業施設の郊外進出といった時代の変化に伴い、シャッター商店街となった中心市街地の賑わい低下に対して問題意識を持つ大町市が、信州地域デザインセンター(UDC信州)へまちなかの再生をどうやって進めていったらよいか相談されたことがきっかけでした。

 「大町市のまちなかを元気にするには、どうすればよいのか?」

 まちづくりについて、大町市とUDC信州では何度も打合せを行ってきました。

 打合せの中で、整理された方向性は、大町市の「未来ビジョン」をつくること。行政だけで考えるのではなく、行政も含めた地域のみんなで共通イメージを持つことが必要と考え、大町市のまちなかが目指す姿を描いていくこととしました。

 大町市は、自然の豊かさが自慢。水がおいしい、景色が綺麗であることなどは、みんなが共有している大町の魅力です。一方で、まちなかでも面白い活動をされている方々や魅力的な場所などがたくさんありますが、それぞれがつながっておらず、まちの魅力として地域で共有できていないことが分かりました。それぞれが点での取組になっており、線や面での魅力につながっていないのです。

 最近では、地ビール工場兼ビールバーである「北アルプスブルワリー」や、芸術イベントである「北アルプス国際芸術祭」なども注目されており、まちなかで新しい活動が次々に生まれてきています。どんな人が、どんな想いで、どんな活動をしているのか、まずは、地域の人々がお互いのことを知る、地域の魅力を共有することから始めました。

市民や企業、高校生を巻き込んで、まちづくりプラットフォームを築きあげる

 今回、地域の魅力を共有する役回りとして、長野県大町岳陽高等学校の生徒を抜擢しました。長野県大町岳陽高等学校(学究科)では、総合的な学習の場として「探究学習」の授業を設けており、生徒が取り組む課題研究テーマの一つとして取り上げて頂くこととなります。

“地域で活動している人=地域の魅力”と捉え、高校生の視点から多様な地域の人々、例えばまちなかの飲食店の方、昔から地域活動している方、新しく活動を始めた方などにインタビューをし、大町市の魅力としてブックレットにまとめていきます。地域で活動する人々へのインタビューを通じて、大町の魅力をあぶりだし、大町市内外へ発信していくプロジェクトです。

 このプロジェクトにて同時に築き上げたいのが、未来ビジョンを創造し実践していく、公・民・学が連携したプラットフォーム。インタビューを行うことで、地域の人々、学校、企業、市役所など多様な人材をつなげて、巻き込むことも狙いです。これまでの行政主体のまちづくりではなく、インタビューを通じてつながった地域のみんなで未来ビジョンを描き、実践していくことを目指します。

 インタビューは、目指せ100人。プロジェクト名は、旧大町村に伝わる有力者、「大町10人衆」にちなんで「信濃大町100人衆interview」です。取材や編集のイロハを地元のプロから学ぶ座学とインタビュー実践を織り交ぜながら、約半年間、全19回のプログラムで進めていき、2021年2月13日予定の最終発表会「信濃大町100人衆会議」にて大町の魅力を地域の人たちと共有していきます。

 来年度は、共有された魅力をふまえて「未来ビジョン」を作成、再来年度から、実践へと動き出します。

魅力を共有するための、第一歩。

 インタビュープロジェクトの講師は、稲澤そし恵さん。2015年に大町市に移住し、地域おこし協力隊として活躍。前職の雑誌編集者の経験を活かして、現在は市が発行するパンフレット編集などにも携われています。信濃大町100人衆interviewの編集長として、高校生と一緒にプロジェクトに参加いただいています。

 まず高校生が学んだのが、取材の方法について。取材では、地域の人に直接質問して、お話を伺うこととなります。その際に重要なことは、聞いた内容を紙とペンで、しっかり記録していくこと。文章として伝えるためには、素材集めは必須です。あまりメモを取る習慣がない生徒たちでしたが、メモをとる癖をつけることを勧められました。

 次に、ブックレットを作る役割・作製手順について。ひとつのブックレット作製だけでも、編集者やライター、カメラマン、デザイナーなど、多くの人がかかわって作られていることを知ります。今回の企画では、生徒たちにライターとカメラマンを担当してもらいます。

 最後に、みんなで取材してみたい地域の人について話し合いました。地元で親しまれる飲食店のオーナーや、イベントを催す一風変わったお弁当屋さん、大町市出身の芸能人である鉄拳さんなど、大町100人衆にふさわしい方々が並びました。今後、生徒たちはまちへの興味や関心、どんな質問をするかなどアンテナを伸ばしながら生活していくことになりそうです。

 次回は、写真撮影について学びます。インタビューした内容をよりよく伝えるために、どんな写真を撮ったらよいか、どうやったらきれいな写真が撮れるか、学んでいきます。

 高校生たちは、自分の住むまちについて、深く考える時間となった様子。これから行っていくインタビューは、高校生が地域の人と触れ合える貴重な機会となります。この経験を通して彼らの記憶に、まちの魅力が深く刻まれることを願います。いつか彼らが将来の大町のまちづくりを担う存在になるかもしれません。

 UDC信州では、住民・民間企業・市を巻き込んで、大町市全体が同じ方向を向いてまちづくりを推進できるよう、数年にわたって伴走していきたいと思っています。

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